諸禄

1日の振り返りを5分で

ステルス値上げの成功事例

柿の種は近年稀に見る「ステルス値上げ」の成功事例である。

 

2020年、柿対ピーナッツの比率が6:4から7:3に変更された。この変更の過程は大々的にキャンペーンが打たれ、「国民投票」を経て最も支持を集めた比率に変更するというものである。マツコデラックスをキャンペーンの旗振り役に起用し、バンバンCMも打っていたのが記憶に新しい。そして投票の結果、7:3が最も票を集め、この結果を受けて亀田製菓は実際に柿の種の比率の変更を断行した。

「凄い、亀田製菓。歴史ある会社の歴史ある商品を、ユーザーの意見で変えるなんて!」と思っているようではアカン。

 

どう考えても柿よりピーの方が単価が高い。7:3になったことで、まんまとピーナツの使用量を減らすことに成功した。ピーナツ使用量の削減により、亀田製菓の利益率は上がったはずだ。にもかかわらず、国民の意見によって変更してあげた感を演出している。これも立派なステルス値上げの一種である。

 

そもそもこのキャンペーンのシナリオは予め描かれていたハズだ。CMでマツコが「私ほんとは7:3が良いと思ってるのよ」と言い、大きな世論の流れを作る。一方亀田側は「7:3が最も良い比率である」と応戦し、改革に抵抗する悪しき権力者として振る舞う。じゃあ国民投票だ、と持っていき、蓋を開ければ選択肢が6:4、7:3、8:2しかない。おい、5:5はどうした?4:6は?3:7だった良いじゃん!でも無い。無いのだ、選択肢が。

50何年の歴史を変えるんだと息巻くデラックスさんを見て、多くの国民は改革を志向したハズだ。この改革に反対するものは抵抗勢力であり、国民の敵である。そうしたマインドを醸成し、選挙に打って出る。小泉劇場そのものである。

で、自分に都合の良いイシューに視線を集め、それ以外は見せないようにする。現状維持か、改革か。この二択を迫られたら「改革に決まってるだろ!」と言いたくなるのが人の性。「いやちょっと待て。俺はピー多めが良いんだけど」と言おうものなら、「今それ論点じゃないですよね?」とグループディスカッションで空気読めない奴みたいなレッテルを貼られる。

こうして巧妙に(いや、かなり雑に)国民の意見を誘導し、民意という大義名分を手に入れた亀田製菓は、まんまとステルス値上げに成功した。

しかも、この変更に際しては、「50何年守り続けてきた歴史を変えます!」とか、「設備投資とか品質とかいろいろ変えるの大変だったんです!」とか「ほんとは変えたくないけどめっちゃ努力して民意に応えた」というスタンスを押し付けてくる。恩着せがましいというか、盗人猛々しいというか、なんというか面の皮が厚い。

値上げの判断と負担を国民に押し付け、自分は身を切って改革を断行したヒーローとなる。そしてメディアも面白がって拡散し、露出も増えまくる。

よくもまあ値上げというネガ要素をここまでポジ転したものだと思う。あまりにも鮮やかな手法だったので、どこかのMBAケーススタディに採用されたとかいないとか。

 

今日柿の種を食べてたら、あまりにもピーナツが少なくて驚きのあまり書き殴りました。

おしまい。